いやいや

私は羊を数えますよ。
で、今日どうしても眠れなくて羊を数えていたのですがあれは難しいですね。
最初は一頭ずつ、体格や顔つき、それに伴う柵の跳び越え方の特徴、着地したときの地面に走る衝撃、その後の羊の態度、などをいちいち考えていたのですが、
私の羊に対する造詣が浅すぎるせいか、はっきり言って体格も「体高が高いか否か」「でぶか否か」「体長が長いか否か」くらいのバリエーションしかないし、顔つきに至っては「ふてぶてしいか否か」と「黒いか否か」しか思いつきませんでした。
思いついた中で一番オリジナリティがあると思われる羊も、せいぜい「体高が低く妙に体長が長い、つまり妙に横長の印象を与える黒い顔の羊」という程度のものだったし。
だんだんめんどくさくなってきたので7,8匹を過ぎたあたりから、「じゅう、じゅういち、じゅうに、」と普通に数を数えるテンポで羊を跳ばすことにしました。
このハイテンポには羊もついていけず、なぜか皆柵を跳び越えるときにものすごい高さまで跳ね上がり、大空に弧を描いて着地するようになってしまいました。これはなかなか愉快だったので79匹くらいまでは行きました。でも「ななじゅうしち、ななじゅはち、ななじゅく」と数えるのがだんだん大儀になってきたのでそれも断念、ついにカウンター制の導入に踏み切りました。
カウンター制というのは、柵と羊たちは言わば背景的な扱いにし、画面の真ん中に三桁のカウンターを配置し、頭の中でいちいち数字を言語化する代わりに、カウンターの映像に数を数えてもらおうという制度です。つまり、77を数えるとき、「ななじゅうしち」まで心の中でつぶやかずとも、「ななじゅ」くらいつぶやき終えたところで既に頭の中には「77」という映像が見えているはずです。この映像が見えただけでもう数え終わったということにしようという制度なのです。さらにカウンターの場合、基本的には1の位のみが動いていくので映像をとらえるのがより簡単になります。
ということで導入されたカウンター制により、羊のカウントはかなりスピードアップしました。カウンターがパラパラめくれていくたびにもはや羊は鞠のようにどんどん跳ね飛ばされていきました。そしてこのカウンター制羊カウントの中でついに睡眠を迎えたのでした。
にしても羊って陰険な顔してるよね。人を小ばかにしたような。
なんか目が縦になってるし。
肉はとってもおいしいと思います。