極道と私

実は私の母方の祖父母は極道、いわゆる「ヤクザ」というやつでした。
もう実務などは引退していますが、ほんの5年くらい前までは祖父は或る組の幹部だったのです。もちろん祖父母は私にとってはただの「優しいおじいちゃん、おばあちゃん」で、惜しみない愛情を受けていたわけです。しかしやはり一緒に外を歩いていると、おじいちゃんの顔を見るだけで道をよける人たちの怯えた顔、いわゆる「弟分」たちの異常にかしこまった態度などにしょっちゅう出くわすわけで、それは私に一種の違和感を与え続けていました。それでも私は祖父母が大好きでしたし、よくなついていたと思います。でもこの違和感のせいで、その後十数年間「極道」という言葉は私の心にぼんやりと苦いモヤをかけ続けることになりました。映画「ゲロッパ」なんて私の心に投げかけるものが多すぎて、直視できませんでした。祖父母が極道の者である事実さえ、私は隠すようになりました。
何が原因だったかわかりませんが、つい3年前、このモヤがはっきりと消えたのです。そして今に至るまでに、私は「祖父母が極道の者である」という事実をそのまま素直に受け入れることができるようになりました。「極道の妻たち」を見て「極妻になりたい」などと素直にあこがれることさえできます。これがささやかな「成長」というやつでしょうか。

あーなんだかお酒が入っているせいか語ってしまったー。